理事長所信
1949年、志ある若者たちが立ち上がり、青年会議所の前身である東京商工青年会議所が発足したのが日本の青年会議所運動の始まりでした。そして1967年、全国で355番目の青年会議所として、ここ箕面のまちにも青年会議所が発足しました。 以来、明るい豊かな箕面のまちを実現するため活動を続けてまいりました。
では今、箕面のまちに住み暮らす人が、実際に幸せな毎日を過ごしているのでしょうか。 2022年ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、第二次世界大戦以降最多となる紛争が世界各地で起こっていることや、長期にわたる景気の低迷、地震や台風の自然災害など、私たちは常に目に見えない不安や恐怖と戦いながら、生きていかなければいけません。
2025年度 第60代理事長
関 大樹
私は、その恐怖に打ち勝つことができませんでした。18歳の時に自殺未遂を経験しました。その時の後遺症で今もなお、左手の感覚はほとんどありません。人が自ら命を絶つ理由。それは、第三者が聞いて納得できるような理由がないケースがほとんどです。当人にとっては生きる希望を失うような環境でも、周りはそれに気付きにくく、それがさらに孤独感を生みます。私だから共感できること・伝えられることがあると考えています。
私たちは目の前の課題と真摯に向き合い、地域全体で命を守り、支えあう環境をさらに強化する必要があります。
箕面市は豊かな自然と生活環境に恵まれたまちでありながら、年間平均17名が、自らの手によってそ の尊い人生に幕を下ろしています。人口およそ14万人の箕面市において、この数字が多いと感じるか少ないと感じるか、それは人それぞれだと思いますが、私は多いと思っています。何故なら、この社会には、「自殺率」というとても悲しい統計が存在します。(人口10万人あたりの自殺者数を表す自殺死亡率)
「街の住みここちランキング」にて常に上位にある箕面市は、周りから見れば、誰もが幸せそうに暮らす。そんなイメージがあるかもしれません。ところが、日本全国の自殺率と箕面市の自殺率の割合はどの年を見てもほぼ同じように推移しています。つまり、どんな環境にあっても、人は人である限り、平等に「死ぬほどつらい経験」をする可能性があるのです。
今まさに「死にたい」と悩む人に、この先の人生で「死ぬほどつらい思い」をするであろう人に、「生きてさえいれば何度でも人生はやり直せる。」「生きてるだけで良いんだよ。 」と、明日を生きる希望を与え、さらに生きづらさを取り除くことで、箕面市のすべての人の生きるハードルを下げます。
また、私たちは命をつなぐ運動として、2021年から箕面船場ライオンズクラブと献血運動を共同開催してまいりました。血液は人工的に作ることができず、長期保存もできないため、医療機関に安定的に血液製剤を届けるために、継続して献血を募り続ける必要があります。本年も、私たちをはじめ、 参画するすべての人の血液によって、怪我や病気と闘う人に生きる勇気を届けます。
厚生労働省の「自殺対策白書」によると年代別の自殺率は2020年以降多くの年代で上がっており、特に10代は上昇傾向にあると言われています。大阪府における統計においても年齢別の死因にて10代の1位は、自殺です。2009年から 2021年のデータで原因や動機を分析すると、家族からの𠮟責や親子関係の不和といった家庭の問題が約4割を占めています。私たちは、家庭不和の原因をはじめ、子どもたちの生きづらさの原因を早急に突き止め解決する必要があります。
青年会議所では、 1976年に東京青年会議所が相撲大会、 「わんぱく相撲」を実施し、その後 1981年以降は財団法人(現公益財団法人)日本相撲協会と協力して、全国に普及し、今では多くの青年会議所がわんぱく相撲を開催しており、箕面場所においては本年度で 9 回目を迎えます。スポーツを通じて日々のストレスを発散するとともに、相手を慮る精神を養うことで、子どもたちの健全な心の育成と、箕面市の青少年の課題と言われてきた運動不足の解消を解決し、本年度においては親子の絆を深める「わんぱく相撲」を開催します。
日本は、 諸外国に比べて台風、地震、 火山噴火などの自然災害が発生しやすい国土です。また、近い将来におこると予測される南海トラフ地震が発災した際には、この箕面市においても甚大な被害が予想されます。そして、大災害発生直後に、当該地域においては自殺率が高まる傾向にあります。災害によって日常の生活が失われた時に人は、人生に絶望し自ら命を絶つのです。災害によって常識がすべて壊された時、どうすれば被災者の生きづらさを取り除けるのか、どのようにケアをすれば人生に希望を見いだせるのか、私たちは大災害が起こる前に学ぶ必要があります。今こそ、これまで青年会議所が構築してきた組織力が活かされる時です。私たちは 2019年に箕面市社会福祉協議会との連携パートナー協定を締結したことをはじめ、これまでの活動の中で箕面のまちの行政や各団体と強力な絆を育んでまいりました。今こそ、地域のネットワークを活かし、地域全体で命を守る運動を発信してまいります。
当会に所属する会員は、まちのため、ひとのため、当然ですが無報酬で働きます。しかし、地域のため様々な事業を展開し、法人として組織を運営するには、「奉仕の精神」だけでは賄えない膨大な量の作業が発生します。会員は、それぞれに家族があり仕事があり、その大切な時間を使って青年会議所運営に参加します。では、何故私たちは地域のために無報酬で自身の時間を使うのか。それは、青年会議所に人間力あふれる魅力的なリーダーが多く在籍しているからではないでしょうか。困ったときは親身になって相談に乗ってくれる。 誰よりも仲間を思いやり、ピンチの時には駆けつけてくれる。それでいて、ビジネスマンとして誰もが憧れる。そんな人間力あふれる魅力的なリーダーの育成に努めてまいります。
また、本年は55年ぶりに大阪の地で万国博覧会(以下万博)が開催されます。万博は世界中から人やモノが集まるイベントで、地球規模のさまざまな課題に取り組むために、世界各地から英知が集まる場です。 1970年に日本、そしてアジアで最初に開催された大阪万博(EXPO’70)は日本の高度経済成長期をシンボライズする一大イベントとなりました。この2025大阪・関西万博では人工知能 AI、自動走行車などの技術の活用によって人々が快適に住み暮らせる社会「Society5.0の実現」の現実を目指し、「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げています。よって、誰もが笑顔で暮らせるワクワクできる新時代の在り方を北地域の近隣青年会議所の若きリーダーが力を合わせ、楽しみながら友情を深めることで人間力あふれる魅力あるリーダーの育成に寄与します。
青年会議所で得られる真の学びは、実際に入会して活動して初めて得られるものだと思います。つまり、私たちがどれだけ箕面のまちのために活動をしていてもその魅力を伝えることができなければ仲間を増やすことはできません。どんな組織にも人が必要です。どれだけ立派な理想を掲げても、実行できる人がいなければ、それはただの絵空事にすぎません。そして、その数が多ければ多いほどインパクトのある魅力を発信することができ、また私たちの活動に共感できる素晴らしい仲間との出会いにつながると考えています。一人でも多くの仲間を集めるため、本年は会員拡大会議を発足し、会全体での会員拡大に取り組める仕組みを作ります。そして、私たち自身が青年会議所活動を全力で楽しむ姿を見て、自然に参加してみたくなる。そんな仲間づくりを行ってまいります。
人は生きている限り様々な問題に直面します。人間関係、 家庭環境、自然災害による日常の崩壊など、「死ぬほどつらい思い」をすることが人生で1度や2度必ずあります。そんな時こそ一度肩の力を抜いて、また前を向いて明日を生きてほしい。私たちの活動を通じて箕面に住み暮らすすべての人の生きるハードルを下げるべく「人生楽笑」というスローガンを掲げ、箕面青年会議所は地域全体で命を守り、すべての市民が幸せな人生を送れる社会を目指します。私自身が命の尊さを痛感した経験を活かし、箕面市の豊かさをすべての住民が実感できるようにするため、当会議所一丸となって箕面の課題に真摯に向き合い、未来を切り開いて参ります。ともに、箕面を「人生楽笑」のまちにしていきましょう。
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